税金対策-接待交際費

仕事がら、節税・脱税について、調査研究を日夜重ねております。
今回は「接待交際費」です。
接待交際費。
この怪しい響き。
接待交際費というと、水戸黄門じゃないけど、悪代官と越後屋が酒を酌み交わし、ってな時の支払いというイメージがあります。
こういうイメージがあるから、悪いことに使っているお金というとらえ方をしている人もいるのではないでしょうか。
b0058108_213328-min
まして、今も昔も、接待交際費は基本、経費として認めない費用(?)なために、さらに一層、接待交際費=悪の経費というイメージが増してしまうのだと思うのです。
 

交際費(こうさいひ、英語:Entertainment expenses)とは、広い意味では外部との付き合いまたは交渉などの際に支払われる費用のことである。個人のみならず、企業活動でも通常発生する費用であるが、法人の場合、税法上の規定により損金になる上限枠を設けている。

 

情報源: 交際費 – Wikipedia

 
ところが、実はきちんと要件さえ満たしていれば、交際費は経費として認められる、損金に算入できるのだ。
情報源: No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|法人税|国税庁
第1のチェックポイントは、中小企業か大企業かという定義の問題。

中小企業は「期末の資本金の額あるいは出資金の額が1億円以下である法人」

私の関連先で、無駄に出資金を増やしている会社でも4,000万円なので、以降は中小企業という前提で話を進めまする。
(※大企業も接待交際費を経費とすることはできるんですが、計算が違うから面倒だし、実際自分のまわりは中小企業しかないので、それのチェックという意味です、)
 
第2のチェックポイントは、接待交際費の金額。
平成25年4月からは、「10%が経費にならない」という規定が無くなり、

年間800万円以下であれば、無条件で交際費を経費にして損金算入できる

ようになりました。
(つまり平成25年4月以前が期首だった期間は、全額は経費としてみとめられなかった、つまり法人税が課税されていたということになります。ねんのため。)
 
第3のチェックポイントは、飲食費の金額
平成26年4月からは、

年間800万円以下であれば、無条件で交際費を経費にして損金算入できる

または

飲食に要する費用の50%を経費とし、それ以外は経費とならない

のどちらかを選べるようになりました。
 
ちょっと分かりにくいので計算例を。
・年間接待交際費 1700万円の場合、
①800万円(上限)を経費とする。
②1700万円全てが飲食費の場合の50%は、850万円。850万円を経費とする。
のいずれかを選べるようになったということです。
でもまあ、接待交際費を年間1,600万円以上、しかもそれをほとんど全部、飲食費として使える企業は、なかなかないような気がするので、これもあまり当てはまる会社は少ないような気がしますが・・・・・
corporation-expenses-min
さて、ここでまた「飲食費」なる言葉が出てきました。
飲食費ですから、飲み食いした代金ということですね。
で、ここに細かいルールが出てきます。

飲食費は、1人当たりの金額が上限5000円まで、交際費以外の費用(一般的には会議費)として損金算入する。

条件(1) 自社社員やその親族のみを対象としている場合は、その部分は当然経費とならない。
条件(2) 年月日&氏名又は名称及びその関係&参加者数&金額&所在地が記載されていること。
201406121814000000305-min
ということでまとめると、
①外部の方に対して1人当たり5,000円以下の飲食費は「会議費」
②外部の方に対して1人当たり5,000円以上の飲食費は「接待交際費」
③外部の方に対しての飲食費以外に交際費は「接待交際費」
というくくりになります。
prt_201312_illust-min
とまあ、ここまでなら、接待交際費についても、なんとか理解できるのですが、実は他にも色々なルールがあります。
 

個人事業主は交際費に損金算入上限がない

これまでルールは、中小企業、つまり法人についてで、個人事業主は実は上限がない。
ただし、事業を進める上で必要な経費でなければいけないのは、言うまでもありませんが・・・・・
 

社内飲食費は扱いが非常に困難

実は社内飲食費は、接待交際費の損金算入から除外されています。
しかしながら経理処理的には、接待交際費となります。
情報源:社内飲食費、交際費と判断
 

社員同士の飲食費は、いわゆる社内接待費として、税法上では、原則交際費として取扱われます。
取引先接待のための飲食費も税法上、交際費として取扱われますが、1人あたり5,000円以下で一定の書類を完備していれば、損金として認めてもらえます。しかし、この飲食費には、社員同士の飲み代は除かれているため、社員同士の飲食費は原則交際費、として扱われたままです。
ところで平成26年度税制改正においては、交際費について、接待飲食費の半分を損金として認めてもらえることが予定されていますが、この接待飲食費からも社内接待費は除かれることが記載されています。

 
それでは福利厚生費としてどうかと言われれば、福利厚生費の判断には、従業員への一律性が求められます。
つまり特定の誰かと誰かだけを対象とした場合は、福利厚生費になりません。
でもまあ、社員数名でスターバックスへ行ったというのは、会議費としてありかもしれませんが、1人当たり5,000円以下でも、居酒屋へ行ったというと、会議費としてありかと言われれば・・・・・
となれば、結局は、経理処理しようとすれば、給与としてかなりえないということになると思うのですが・・・・・
まあ、業務上必要であったという判断が出来れば、接待交差費に入れても良いようなのでが・・・・
 
で、結局はここに集約されてしまうんですよね。

交際費には「〇〇だから交際費、△△だから会議費」という明確な基準がない。
それに関するものだけで数百ページに及ぶ書籍が何冊も出版されるほど多種多様である。
税務調査の際は、「本当に事業遂行のために必要なものだったのか?」「個人的な支出が含まれていないか?」といったポイントが論点となる。

なんだかなあ。

225_57566729-723x370-min
 
で、ここまでだと税金対策という観点が抜け落ちていますので、私の考えるまとめを。
①自社の接待交際費が毎年いくら位なのかを把握する。つまり800万円の枠を使いきっているのか、使い切っていないのか?
②枠を使い切っていないのであれば、外部の方との飲食費をはじめとする金銭支出について、できる限り経費化する。
③枠を使い切りそうであれば、できる限り会議費になるような飲食費を見つけ、接待交際費ではなく会議費として処理する。
④社員に対する飲食代についても、なるべく会議費に該当しそうな金銭支出については、できる限り経費化する。
⑤社員に対する飲食代について、なるべく従業員に一律の機会のあるものを見つけ、福利厚生費として経費処理する。
こんな感じでしょうか?
特に①ですね。
 
 
(これまで「税金対策」シリーズ 掲載)
第1回 税金対策-赤字会社を利用する
第2回 税金対策-未払費用の計上
第3回 税金対策-少額減価償却資産の一括費用計上
第4回 税金対策-欠損金の繰越控除
第5回 税金対策-企業版ふるさと納税制度
第6回 税金対策-保険
 

法律

Posted by ymo