税務調査における質問調査権

2020年7月5日


さて、税務署からやってきて税務調査をする税務署員の法的権限となっているものを「質問調査権」と言います。

質問検査権とは各税法に定められている、税務調査の調査官に付与されている法的根拠です。
わかりやすく言うと、「税務調査に入るための免罪符」のようなものです。
この法律によって法人に対して、質問や帳簿書類その他の書類等の提出を求めることができます。
そのため、質問検査権は拒否することはできません。
情報源: 税務調査の質問検査権とはなんですか?|会計.com

なんだかこう書いてあると、なんでもかんでもOKのような感じがしてしまいます。
なにせ、拒否することは出来ませんなんて書いてあったりするわけですから。
ところが、

「質問検査権の条文を詳しく読みますと、税務調査における調査官の権限は極めて限定されていることが分かります。」

なんていうことが、元国税調査官の方が書いた著書に書いてあったりします。


情報源: 押せば意外に 税務署なんて怖くない | 松嶋 洋 |本 | 通販 | Amazon

この著書には、さらに

「たとえば、経営者の純然たる私物を確認するような場合、建前としては質問検査権の範囲を逸脱している」

とも書いてあります。

「質問検査権を超えた行為を調査官がしようとしたら、抗議するのが鉄則」

なんて書いてあったりします。

この辺、正直言って、素人の我々には、よく分からない部分です。

情報源: 第1章 法第74条の2~法第74条の6関係(質問検査権)|税務調査手続関係 個別通達目次|国税庁

当然、その元となる法律の条文を読んだところで、よく分かりません。
 
実際の現場に何回も遭遇している私でさえ、詳細な部分については、良く分かりません。
また、当然そんな法律を読んだことさえない、普通の経営者の方にとって、税務調査なんてなんだかよく分かりませんから、税務署の職員から、「質問調査権によって、拒否できないよ」なんていうようなことを言われたりしたら、従ってしまうと思います。

しかしながら、以下の文章は、是非一読して、税務調査には、ある一定の制限が存在し、なんでもかんでも許されるものではないのだということを理解しておくことは、重要なポイントだと思います。
 
「税務職員の質問検査について」に対する答申(昭和45年12月3日)(日税連税制審議会)

納税者の同意を得ないで金庫や書庫、抽出し、箪笥等を開き、現金や預金通帳、さらには個人的な書簡等の検査を行なうなど、税務行政の執行上好ましくない調査方法をとる場合も見受けられるので、各税法所定の質問検査権は強制調査ではない旨を調査に当たる税務職員に周知徹底させ、職権の濫用にわたらないよう十分注意する必要がある。

納税者に不必要な威圧感や恐怖感を与えないよう特に配慮されるべきであり、納務者と税務官庁との間に無用の摩擦や紛争をひきおこすことなく調査を順調に進めるためには、税務官庁は、調査にあたり、納税者にその調査の目的、その必要性等をできる限り、明示するよう努力することが望ましい。

各税法に定められている質問検査権は、納税者に受忍義務があり、納税者がこれを拒否し、あるいは調査を妨害した場合等には罰則の適用があるという点において、純粋の任意調査であるとはいえないが、強制調査ではないので、その調査権を行使するに当たっては、相手方の承諾を必要とするものであることはいうまでもない。

 
最近は、税務署への風当たりも強くなり、あまり強硬な態度をとる調査は行われないようになっているようですが、「納税者の同意を得ないで金庫や書庫、抽出し、箪笥等を開き、現金や預金通帳、さらには個人的な書簡等の検査を行なう」ようなことは、本来あるべき姿とは相違していることを理解しておくことは、重要だと思うわけです。
 
繰り返しになりますが、基本的な税務調査は、任意調査なのであって、強制調査ではありません。
(※ただし、強制調査の場合が、ごく稀にありますが、それは、かなり悪意のある脱税をしている場合に限りますから、一般の方にはあまり関係ないと思いますが。)
そのことを忘れないようにしてください。
 
もっとも後ろめたいことがなければ、きちんと抗議出来るわけで、抗議できないような人の場合は・・・・・

なんだかなあ。

法律

Posted by ymo