時効取得をした土地にまつわる税金のお話

時効取得とは、他人の土地や不動産を、所有する意思を持って一定期間占有した場合に、時効により所有権を得ることができる制度のことです。 所有した当初は実質的な所有者でなくても、長期間占有していることによって、自身が所有者になれるということです。

土地や不動産の時効取得の条件とは? 注意すべきケースについても解説

まあ、時効取得っていうケースに、一般の方が出会うのも珍しいとは思うのですが。

そもそも他人の土地を長期間にわたって使い続けて何も問題ない・・・・・というのが謎だと、普通は思うのですが・・・・。

まあそこには色々なケースがありまして・・・・・・

例えば、売買契約して、金も払って、土地の引き渡しを受けたけど、登記をしていない・・・・・・なんていう間抜けな話がたまにはあるようで・・・・。

売った人も、買った人も死んでしまって、それぞれ息子とか娘の代になっていたりして、双方証拠がなかったりして・・・・・

なんだかなあ。

さて、今更ではありますが、時効取得については、占有(利用)している方が、俺の土地だ!認めろ!って、裁判を起こす訳ですが・・・・・、そんなあったんだか、なかっただんだか分からない土地売買の話をすんなり「どうぞ、どうぞ」と認める人もいなくて、一応、裁判所の審理があって、判決となるのわけです。

はあ、長かったな前置き。

さて、めでたく裁判所の判決をもらい、自分の土地だ!と登記をする段階になって、そこはそれ色々とお金がかかってきます。

「裁判費用」はまあ仕方ない・・・・・まさか相手側に全額払ってもらえるはずもなく・・・・・そして、登記をすれば、その際に「登録免許税」がかかって、半年位すると「不動産取得税」がかかります。

前述のケースだと、なんで今更、俺が払わなければならないんだよと、死んでしまった親を怨むことになるわけですが、後の祭り。

まあ、親の土地ですから、死ぬ前に本当に「親の土地なのか?」なんて疑うこともないでしょうし、死ぬ前に財産確認なんかしていて、死にそうな親に見つかったら、「親不孝者!」とか言われそうですしね。

ところが時効取得で土地を取得した場合には、さらなる税金の追い打ちがかかるのです。

普通土地を買っても、買った段階では、税金はかかりません。
売る時になって初めて譲渡税がかかります。

ところが時効取得で土地を取得した場合、裁判できちんと「売買が証明されれば」問題ないのですが、売買の記録なんてないけど、まあ長期間占有していたから、あんたのねなんていう判決になると、売買ではなく、税法上は「一時取得」とみなされてしまいます。

「所得」には、給与所得や事業所得、山林所得など10種類の区分に分けられていてそれぞれ税額の計算が異なります。
この10種類の所得のうちのひとつが「一時所得」です。

一時所得とは、懸賞、クイズの商品、競馬の馬券の払戻金、生命保険の満期保険などのことで、以下の要件を満たす所得のことをいいます。

①一時的な所得であること
②働いたことによって得た所得ではないこと
③資産の売却によって得た所得ではないこと
④営利を目的とする継続的な行為から生じたものではないこと

一時所得とは

確かに要件は満たしていますが、なんとなく釈然としないものもあります。
そうは言っても、税法で決まっているので、一時所得となり、「所得税」を払うこととなります。
個人が土地を売った時と同じように「確定申告」する必要が出てきます。

問題はこの際に、いくら儲かったことになるのかという点です。

【所得の計算方法】
土地等の財産を時効の援用により取得したときの一時所得の金額は、次のとおりです。

時効取得した土地等の財産の価額(時価) - 土地等の財産を時効取得するために直接要した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

※ 課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額です。(所法34、36、所基通36-15)

No.1493 土地等の財産を時効の援用により取得したとき

時効取得した土地等の財産の価格(時価)・・・・これが曲者です。

売買ならきちんと売買契約ってものがありますが、土地の時価なんて・・・・・・

まあ、長くなりますので、ここでは詳細に触れませんが、参考文献のurlを以下に張り付けておきます。

土地の時価とは?(時価の種類)

まあ、ここの書き出しにあるように、

多くのご意見があると思いますが、一般的な時価としては以下の3つに大別されます。

1正常価格
2相続税路線価から求めた評価額
3固定資産税路線価から求めた評価額

ここで注意しなければならないのは、時価には一定の幅がある事です。

土地の時価とは?(時価の種類)

時価には一定の幅があるのです。

100万円なのか、500万円なのかによって、税額は大きく変わってきます。
一応の基準値はありますが、「時価」なわけですから「判断」が入ってきます。
この問題に直面すると、いつも思うわけです。

なんだかなあ。

今回、この原稿を書いているのも、この問題にぶつかったからです。

路線価 1000万円
固定資産評価 500万円
売買査定 160万円

と言った土地の場合、どれを基準値にするか・・・・・なわけですが・・・・

今回は、時効取得した土地をたまたま不動産会社が160万円で買い取るので、まあ税務署もあんまり強くは文句を言えない(と税理士に確認済み)のですが、これが売買がなかった場合・・・・・・・

税務署と戦うのは結構面倒だと思うのですが・・・・・

なんだかなあ。

私個人としては、なるべくこうした恣意性を排除できないかと思うのですが・・・・・・

不動産

Posted by ymo