自己破産と代表取締役変更

2021年1月21日

昔、「個人で自己破産すると、代表取締役になれない」っていう話を聞いたことがありました。

んで、もって、最近、飲食店をやっている人が、店を撤退して、債務整理をしようという話に関わり、その人が最終的には自己破産することになりました。

んで、その人に聞かれました。

「やっぱり、もう、会社の社長とかなれないよね。」

う~ん、そうなのかなぁ・・・・・。

ということで調べてみました。

参照:破産しても代表取締役になれるのか

結論から言うと、「個人で自己破産した後に、法人の役員(代表取締役)になることは問題ない。」ということのようです。

 この点、改正前の商法では、破産者であること(「破産手続開始の決定を受け復権していない者」)が取締役の欠格事由とされていました。しかし、この規定が破産者(経営者)の早期の経済的再生の妨げになるおそれがあったことから、新会社法になり、破産者であることは欠格事由からは外されました。そのため、破産者であるというだけでは、取締役になれないことはありません。

1. 1.1 取締役の資格と欠格事由

このようなことがあるので、昔昔のことを知っている人達からすれば、「自己破産すると取締役になれないよ」という考えが根付いているのでしょうね。

で、余談ではありますが、自己破産の前後については、非常にややこしいことになります。

①自己破産前に、法人の役員をやっていた場合、自己破産が確定した段階で、法人との委任契約が解除され、役員としての地位から法的には抜けることとなる。

②但し、登記簿には反映されない。現在、取締役をやっている場合等で、即時に退任と専任の手続きを取る(ことが必要な場合がほとんどないような気がしますが。)かどうかは判断が分かれる。

ただし、現在就任中の取締役が自己破産をした場合には若干別の考慮が必要です。というのは、民法の規定により、就任中の取締役と会社との契約(委任契約)が終了し、その当該取締役は自動的に退任することになるからです。そのため、その取締役が引き続き就任するためには、株主総会などで改めてその取締役を選任べきということになります。
もっとも、この場合に常に退任と就任の登記まで必要といえるかは難しい問題があり、この点は専門家に相談するとよいように思います。

1. 1.1 取締役の資格と欠格事由

③自己破産直前に、別の法人の取締役(代表取締役)になることも、手続き論的には可能だが、その場合は、個人の債務弁済の詐害行為や、自己破産時の委任契約の終了による取締役の法的失効等、ややこしい問題が発生する場合がある。

ってなことのようです。

そもそも、

大阪地方裁判所の取扱では,会社の代表者は,原則会社と同時に破産申立をする必要があり,会社・代表者共に破産管財事件となります。

NO.47 会社の代表者の破産申立

というような話もあり、この辺はかなりややこしいことになっているようですね。

それにしても、この辺は権利関係がややこしいとしても、自己破産した段階で、法人との委任契約が終了すると法的には規定されているのに、法務局の登記が連動しないっていうのは、不思議な気がします。

なんだかなあ。

まあ、物理的に無理なのかもしれませんけどね。

法律

Posted by ymo