委任契約と委任状と口約束

2020年6月24日

契約って言うとなんかちゃんとしている、つまり何らかの法的拘束力というか、そんなものがありそうな気がするじゃないですか。

委任契約とは、「委任者が法律行為をすることを受任者に委託し、受任者がこれを承諾することによって効果が生ずる」と定められています(民法第643条)。
つまり、他人に自分のやりたいことを代理でしてもらうために結んだ契約ということです。

委任契約とは?

で、こんな話がありました。

お父さんとお母さんと息子がやっている会社。
お父さんの放漫経営で、会社は赤字だらけ、資金繰りにも四苦八苦。
会社のある土地・建物はお父さんとお母さん名義。
会社の代表取締役は息子。
息子さん、まっかっかの会社をどうして引き継いだんですかね?
まあそういう疑問はあるものの。
まだ土地建物を売れば、会社は再建できるかもしれない。

と、私の知り合いの不動産屋に相談に来た。
まあ当然、土地建物の売却がメインの話になるわけで、不動産屋ですから、委任契約結んだわけです。
もちろん、お父さんとお母さんと息子さんを全員呼んで、連名です。
所有権はお父さんとお母さんにあるし、会社のことも関係してくるから、息子さんの同意も必須でしょう。

で、暫くしたら、弁護士から一通の内容証明。

「委任契約を解除する。」

うん、不動産屋さんは、げきおこですわね。


散々、時間かけて相談に乗らせて、色々売却の準備したり時間と労力を使って、いざとなったら、何の連絡もなく、弁護士から内容証明・・・・・なんじゃそりゃ。

これが普通に、不動産を売って下さあい、なんていうシンプルな話なら、別に怒りはしませんよ。(まあ、弁護士から内容証明っていうやり方については、色々もやもやするでしょうけれど。)

だけど、この話は知人からの紹介で、それも困っているから話を聞いてあげて欲しいって、別に人の会社が苦しい話なんてどうでもいいんだけど、聞くだけ聞いてあげて・・・・・。

まあちょっと違うかもしれないけど「梯子を登って屋根に上がったら、梯子を外された」感じ。

で、一応弁護士さんに聞いてみました。

Q:委任契約ってそんなに効力薄いんですか?

A:①委任状は、委任した側より一方的に破棄できる。
  ②ただし、委任した内容により、例えば今回の場合で言えば、土地売買契約の前日だった等、受任する側が損害を受けることが明確な段階では、訴訟により対抗することは一応できる。

だそうです。

なんだかなあ。

ですから、委任契約、契約なんて言っても、委任状とほぼ変わらないし、第三者に対する対抗力があるだけで、委任者に対しては、これっぽっちも権利はないようなもんなんですね。

口約束と大差ないぞ!
(あ、まあ口約束だと、他の人に分かってはもらえないですけどね。)

法律

Posted by ymo