賃料差押の競合 その2

その1はこっち↓

賃料差押の競合 | なんだかなあと思う世界

なんだかここのところ、弁護士になった気分です。 さて、タイトルの件ですが、「賃料」の「差押」が「競合」した場合にどうなるか・・・というタイトルなのですが・・・・ これも、 ってな感じで、分かる人には、分かるのでしょうけれど・・・・・ まず「賃料」の「差押」ですが、例としてあげると、 A:賃貸物件の大家B:賃貸物件の賃借人C:Aの債権者 …

さて、更にややこしい話になるのですが、

(登場人物)
マンション所有権者 A
Aに対する債権者 B
マンションをAから借りている賃借人 C   月額賃料支払い 5万円
更にCから借りている賃借人(転貸人) D    月額賃料支払い 10万円

さて、B氏がA氏に対して賃料を差押えするとします。

B氏は、裁判所よりC氏に対して(賃料)差押命令を出す訳ですが・・・・・

このマンションでは10万円の賃料が発生しており、感情的にはそっちを差押したくなります。

このマンションより発生している債権な訳ですから・・・・・

しかしながら、これは原則としてはできません。

とある弁護士の先生の回答は以下の通りでした。

原則:A→Cの賃料債権しか差し押さえることが出来ない
例外:Cがわら人形(差押えを免れるために間にいれただけの存在)だとすると、C→Dの賃料債権も差し押さえることが出来る

殺したいほど憎い相手を不幸に!呪いの藁人形、丑の刻参りの方法

つまり、A氏がC氏に頼んで、本当は直接D氏に貸し出すと、10万円賃料全額が取られてしまうので、名義を借りたとか・・・・・・そういう賃料差押を回避しようとしている場合でもなければ、C→D間の賃料は差押えできないということのようです。

なんだかなあ。

考えようによっては、そういうやり方で、賃料差押えを免れようとしている人がいるっていう話ですから、色々みんな考えるのですね。

(登場人物)
マンション所有権者 A
Aに対する債権者 B (抵当権設定者)
Aに対する債権者 C
マンションをAから借りている賃借人 D     

さて、B氏とC氏が一斉にA氏に対して(正確にはD氏へですが)賃料の差押えをする場合については、その1賃料差押の競合でもやりました。

で今度の場合は、B氏がA氏のマンションに抵当権を設定している場合は、また話が違ってきます。

こういう裁判の判例がやはりありまして・・・・・一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えの競合

一般債権者による債権の差押えの処分禁止効は差押命令の第三債務者への送達によって生ずるものであり、

他方、抵当権者が抵当権を第三者に対抗するには抵当権設定登記を経由することが必要であるから、

債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ、右の差押命令の第三債務者への送達が抵当権者の抵当権設定登記より先であれば、抵当権者は配当を受けることができないと解すべきである。

一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えの競合

簡単に言いますと、「抵当権設定登記の日」と「賃料差押えの送達が送られた日」の早い方が優先するということのようです。

判例の場合は、「賃料差押えの送達が送られた日」が「抵当権設定登記の日」より早かったから、抵当権者は配当を受けられないという場合のようですが・・・・・

でもそれなら、賃料の差押えだって、早い者順で良いような気がするのですが・・・・・

なんだかなあ。

とまあ、色々書きましたが、やはりケースバイケース。
判断されるポイントも、表面上のやり取りだけでは分からないこともあり、判断は難しい所のようですね。

賃料差し押さえられる人は、元々払う賃料ですから、対して気にもなりませんし、
債務者は、借りたお金を返す立場ですから、まあどっちへ行ってもいいんでしょうけれど、
債権者が複数いる場合は、色々と大変なやり取りがあり、裁判してでもなんとか取りたいというところでしょうか。

法律

Posted by ymo