税制に関する文句

日頃法人の税金についてかかわっていない方にはまったく知りえない話なんですが・・・・・
普通の、事業主でないサラリーマンというと、毎年払う税金と言えば、

  • 所得税(源泉されるからほとんど意識しない)
  • 市民税、県民税(=住民税)(最近は会社での源泉をかなり厳しくチェックされるので、意識しない)
  • 社会保険税(最近は社会保険料というより税金扱いっぽい、これも源泉されるからほとんど意識しない)
  • 自動車税(これも自動車持ってなければ発生しないが)
  • 固定資産税(これも土地建物を所有していなければ発生しないが)

ということで、あまり意識することはありません。
これはまあ良い仕組みとは思います。
ところが、会社はそうはいきません。

  • 従業員の所得税
  • 従業員の市民税、県民税(=住民税)
  • 従業員の社会保険税
  • 自動車税
  • 固定資産税

そして、会社の税金となりますが、

  • 国 : 法人税、消費税
  • 県 : 県民税、事業税
  • 市 : 市民税

と結構色々支払わなければなりません。
ところがです。
ここ10年ほどで、これにまた2つほど税金の種類が増えています。
税制ですから、税率が変更になるのは仕方ないのですが、税金の種類を増やすのはどうなんだろうかと思います。

なんだかなあ。

増えたのは、

  • 国 : 地方法人税(平成 26 年 10 月1日以後に開始する事業年度から)
  • 県 : 地方法人特別税(平成20年10月1日以後に開始する事業年度から)

です。
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さて、このややこしい名称は、その制度目的から来ているものと思われます。
まず、地方法人税ですが、国税で、国(税務署)に納めます。
国税なんですが、自治体間で税収にバラつきが生まれないように国が各自治体に分配する地方交付税の財源にするというものらしいです。
とろこがです。
地方法人特別税は、国税なんですが、県に納めます。
県に納めるのですが、国が都道府県の財源を再分配することを目的としているとあります。
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なんとなく言いたいことが分かっていただけるといいのですが。
つまりは、元々地方交付税はかなり以前から存在し、国が地方の財源のばらつきを調整するもののはずなのですが、平成20年に新たな制度を作り、さらに平成26年に新たな制度を作ったということです。
しかも、両方国税といいつつ、片方は県が徴収し、片方が国が徴収する。
ってどんだけ仕事を増やしたいんだという感じです。

なんだかなあ。

こんなに複雑にしてどうしたいんでしょうか?
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しかも不思議なことは、まだ続きます。
地方法人特別税なんて、

  • 国税であるが、賦課徴収は都道府県が行い法人事業税とともに徴収する。
  • 国税通則法、国税犯則取締法の適用が無く、国税徴収法上も地方税扱いとなされるなど、制度の運用は地方事業税とほぼ同じ取扱いがなされる。

って、書いてておかしいと、制度を作っている人は思うわないのだろうか?
 
そりゃ、

  • あらたな税制度が増えたと聞くと、税の負担が増えたように聞こえるかもしれません。
  • しかし実際は、地方法人税が増えた分、地方税である法人税の税率が下がります。
  • そのため、実際はこれまでの法人税の額と変わらない額を支払うことになり、税負担が増えることはありません。

って、建前はそうなってますが、こんなに税制が変更され、これ以外に税率もこまめに変動し、なおかつそれぞれの税金の計算は微妙に違っている中で、そんなことをきちんと理解できる人はいるんでしょうか?

なんだかなあ。

 
そういえば、東日本大震災の後にできた「復興特別法人税」っていうのもありました。
(個人にも課税されていましたけど。)
これも、考えてみれば、わざわざこんな制度を作る位なら、単純に法人税(所得税)の税率を上げるだけでよかったのではないのでしょうか?
 

復興特別法人税の1年前倒し廃止
平成26年改正法により、復興特別法人税の課税の対象となる事業年度(以下「課税事業年度」といいます。)は、「平成24年4月1日から平成26年3月31日(改正前:平成27年3月31日)までの期間(指定期間)内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年(改正前:3年)を経過する日までの期間内の日の属する事業年度」とされました(復興財源確保法40十、45、復興特別法人税令3)。
これにより、復興特別法人税の課税期間が1年短縮されました。
したがって、平成 26 年4月1日以後に開始する事業年度については、原則として、課税事業年度にはなりません。

 
これも絶対に陰謀だと思ってしまうのは私だけなんでしょうか?
 
(余談)
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東京都では、地方法人税などを廃止することを盛り込んだ都税制調査会の答申が知事に提出されています。
■東京都税調、「地方法人税」などの撤廃を答申
・「地方法人税」などの撤廃を答申した。
・東京都の税制調査会は、地方法人課税などについての答申を取りまとめた。
・答申では、「地方法人特別税、地方法人税は、速やかに撤廃し、地方税として復元すべき」などと主張している。
・都知事に答申が手渡されるのは、14年ぶりで、担当者は、東京都の現状に危機感を持っているためだと説明している。
・舛添知事は「われわれにとって、不合理な税の偏在是正措置は、何としても、今回限りで撤廃してもらいたい」と強調した。
 
そりゃ、東京都はいくつも東京から地方に税金を回すような制度をつくられちゃたまりませんよね。
でもそれって、論点がおかしいと思うのです。
制度の問題ではなく、地方に再分配するのが必要なのかどうなのかという問題だと思うのですが・・・・・
まあ制度が作られれば、ひっぱられますから、東京都の立ち位置は分かるのですが・・・・・
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法律

Posted by ymo