農業所得を申告していない程度の農地/事業用資産の買替特例

2020年6月24日

農地って言っても色々あるんですけどね・・・・・

さて、一概に農地と言っても色々あって、農地にまつわる法律等規則規制関係の話は、枚挙にいとまがない・・・ですが、今回はちょっと違って。

今回は、事業用資産の買い替え特例について。

No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例

個人が、事業用の特定の土地建物等を譲渡し、原則としてその譲渡をした日の属する年の前年から翌年末までに一定の要件に該当する土地建物等を取得して、その取得後1年以内に事業の用に供した場合、譲渡資産の譲渡益のうち買換資産に対応する部分の70%〜80%に相当する部分については、課税の繰延べが行われ、譲渡所得は課税されません。

https://www.mecsumai.com/file/members/mypage/book/tax/030-035.pdf

まあ詳しいことは国税庁の上記のサイトを見て頂くとして、簡単に言えば、自分の持っている事業用資産を誰かに売って、他の事業用資産を買うとして、売った分の税金を先送りにしますよ、というものです。

先送りというのは、要するに買った分の資産の価値を低くしとくんで、将来売るとその時にその分課税されますよっていう、なんだかややこしい税制の特例です。

No.3426 事業用資産の買換えの特例を受けて買い換えた資産の取得価額とされる金額の計算

資産ってありますけど、ほとんどこの特例を使いたいのは不動産の売買の際です。

不動産売買って金額がでかいので、税金の金額も大きくなりますから、少しでも税金が減らせるように使える特例は使いたくなるのが人情です。

で、事業用資産ていうからには、「事業」の「用」に供している「資産」って読めるわけで・・・・・

ここに「農地」が登場します。

ちょっとイメージしてみてください。

農家の人が、畑で農作業をしています。
ここに不動産会社の人がやってきて、
「土地を売りませんか、売ったお金で別の土地にアパートでも建てませんか、もうお歳ですから農作業もきついでしょう、アパート建てるのに借入しますから、相続税対策になりますよ」
なんて営業をかけるわけです。
農業をしていたおじいさんは言います。
「ここは親から相続した土地だから、売れば、税金もかなり払わないとだよな。」
そこで不動産会社の人は言います。
「事業用資産の買替特例というのがあっでですね・・・・」

まあかなりはしょってますけど、要するにこういうセールストークを使っている人が未だにいるようです。

長期買換え特例が延長になったそうですが、どのような内容ですか。

例えば、この東建コーポレーションという会社のサイトでは、

上記の条件を満たせば、原則として譲渡所得の80%が課税繰延べされるというものです。譲渡資産には農地(営農地)が、買換資産には賃貸マンション・賃貸アパートの建物も含まれます。

https://www.token.co.jp/estate/taxsaving/25.shtml

とかなり気軽に書かれており、「営農地」としか書いてありません。

ところが、農地で農作業をしている人が、事業としてやっているかというとこれが微妙です。

事業用資産の定義に

「事業に準ずるものとは、相当の対価を得て継続的に行われるものをいう」

というのがあり、農業所得を申告していなかったりすれば、厳密にいえばアウトなのです。

ちょっと片手間に農作業とかいう人の土地は、本当は対象になりません。

ところが、税理士の先生に聞いたところ、

買い替え資産の特例は簡単に出せる特例で、申告する際のチェックが厳しくないので、簡単に出せるよ。

とのことで、その辺、後日税務調査が入る可能性はかなり低いとのこと。

なんだかなあ。

でも、調査が入れば、

「事業に準ずるものとは、相当の対価を得て継続的に行われるものをいう」という規定があり、そもそも農業所得を申告していなければ、否認されるよ。

とのことでした。

別途国税の見解等を調べたところ、農地については具体的な記載は見つけられませんでしたが、

山林からは継続して収益をあげていないこと、所有山林の面積、植林の実施状況等からみて、山林業と称するに足る事業を営んでいるとは認められないので、譲渡した山林素地は事業用資産とはならない。

事業用資産の判定

 請求人は過去4年間、山林の伐採又は譲渡による山林所得の申告をしておらず、過去における土地の譲渡に山林の譲渡が含まれていたとしても、その価格は格別取り上げる必要がない程度のものであると認められること及び本件譲渡直前において請求人が所有していた土地の面積は事業たる林業を経営している程度のものとは認められないことなどから請求人は林業を営んでいたとは認められないから、本件山林素地の譲渡は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条に規定する事業用資産の譲渡とは認められない。

事業用資産の判定

といった感じで、所得の申告をしていない程度のものは事業として認められないという記載があり、農業についても同様なのかなと思ってしまいます。

今回なんでこんなことを長々と書いているかというと、この特例を受けようとしている人がいて、「絶対にあの大手住宅メーカーの営業マンが言っているんだから、特例は受けられるはずだ!」って粘るんですよね。

そう言われると、かなり時間かけて調べて、税理士の先生にも聞いたけど心配になるわけですよ。

誰か、申告していない程度の収入の農業をやっている人の農地を売却する際に、事業用資産の買替特例を受けるための方法?秘訣?秘密?を教えてください。

法律

Posted by ymo