不動産にまつわる話はいつも奇々怪々

こんな話がありました。
とある不動産、土地ですわな。
所有権 A 昭和55年取得(原因:相続)
B 平成12年条件付き所有権移転仮登記(条件:農地法5条許可取得)
C 平成28年取得(原因:売買)
平成28年抵当権設定
令和2年競売開始決定

この土地、AさんがBさんに売ろうとして、所有権移転仮登記までしたわけですが、結局その後本登記になることなく、Cさんが平成28年に売買で取得しております。
Cさんは銀行の借金が返済出来なくなり、競売が決定したわけですが・・・・・
この時、競売で新所有者が決定したとして、実は抵当権は抹消されますが、Bさんの条件付き所有権移転仮登記は、残されたままです。
残っていたからと言って、何がどうなるわけも、ほとんどないのですが、実はBさんが、実は農地法5条の許可を当時取得していたけど、本登記をしていなかったと言って、今頃出てくると、この土地の所有権はBさんのものになったりします。
なんだかなあ。

なんだか理屈に合わない気もしますが、登記の順番とは、そのくらい重要なものなのです。
同一の不動産について登記した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記の前後による。
不動産登記法第4条
そもそも論でいえば、Bさんの条件付き所有権移転仮登記が残ったままで、CさんがAさんから土地を買うこと自体が、おかしい話なのですが、放置しておくと、所有権移転仮登記は残ったままとなります。
でも、まあ普通に考えれば、自分の土地になるのに、本登記せずに放置しておくなんてことは、まずないのであって、平成12年から考えれば、すでに20年経過していることもありますので、消滅時効(10年)を請求できる可能性は高いわけです。

ということで、「仮登記抹消手続請求」という提訴をすれば、基本的には裁判所が、この仮登記の抹消を認めてくれるものと思われます。
でも、そうでない可能性もわずかに残されているあたり、不動産にまつわる話は奇々怪々です。
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