登記について(同時、連件、順番)

まあこんなこと考えている人はあんまりいないと思いますけど。

登記申請がされると、実は登記簿が一時的に取れなくなります。

登記の申請している不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)はその登記が完了しなければ取得できません。
登記簿が閉まってしまうから、なんて言い方をしたりします。

不動産の登記申請中に、別の登記申請をする

この理由や仕組みや、取れなくなっている期間については、調べたことがないので、分かりませんが・・・・・。

実務としては、登記簿を使うような時には、登記申請をする前に、登記簿を取得しておいたりしますが・・・・
(例:法人の登記簿謄本は、比較的頻繁に使うので、いざという時のために複数枚取得しておいたりする。仮に登記申請をしている最中に、必要になると「ない!取れない!」とかいうことになり、問題になるから。)

ちょっと話が横にそれましたが・・・・・

登記の順番というのは非常に重要で、例えば、抵当権の1番と2番では、大きな意味の違いが出てきます。

登記については、本人の同意が基本的には必要ですから、抵当権の1番と2番を同時に登記なんて出来ないわけですが・・・・

だから普通は、登記の順番とか、同時に出来るかなんてことは、あまり話題にも上りません。

では、普通ではない場合・・・・はどうでしょうか。

例えば、とあるマンションが競売に出ました。

そのマンションは、管理費修繕積立金がかなりの金額未納で、競売の資料にも出ています。

競売終了後、落札者が決定し、新たな所有権者となるとします。

この人が銀行借入で、資金を調達し、銀行はそのマンションに抵当権を設定することで、その貸し付けを担保する条件で融資をしたとします。

一方マンション管理組合は、このチャンスを虎視眈々と狙っていて、新しい所有権者になったら、管理費修繕積立金の未納を取り立ててやろうと企み、そのマンションを差押えしたいと考えていました。

実務について知らない人がほとんどと思いますが、競売で落札した場合、裁判所で嘱託した司法書士が登記申請を行い、この時は「所有権の移転」のみを登記申請することになっています。

という前提条件の場合、裁判所が嘱託した司法書士が登記申請を行った直後に、銀行の抵当権設定と、マンション管理組合の差押登記の申請が、同時に法務局に持ち込まれたら・・・・・優先するのは持ち込まれた順番になると思われます。

しかし、それで、銀行の抵当権設定が差押えに遅れたりすると、その後は債権の優先順位で、困ることになったりします。(差押登記に劣後する抵当権者は差押権者に対抗できない。)

まあこんな競売の実務に配慮して、抵当権については、連件で処理することが出来ることになっています。

民事執行法 第82条 2項

買受人及び買受人から不動産の上に抵当権の設定を受けようとする者が、最高裁判所規則で定めるところにより、代金の納付の時までに申出をしたときは、前項の規定による嘱託は、登記の申請の代理を業とすることができる者で申出人の指定するものに嘱託情報を提供して登記所に提供させる方法によつてしなければならない。
この場合において、申出人の指定する者は、遅滞なく、その嘱託情報を登記所に提供しなければならない。

民事執行法第82条

ちなみに登記の連件」というのは、いくつかの登記番で申請することを言います。

同時に申請&受理されることですね。

さて、また話は飛びますが・・・・・。

他の登記申請について法務局が処理中で「閉鎖」されている物件に、更に新規に登記を申請することを、法務局は受付るには受け付けてくれるそうですが、司法書士によっては、嫌がるそうです。

では、登記申請中に、その物件に別の登記の申請ができるか。

正直、できると聞いたことがあったけど、本当かなと思ってましたが実は、申請自体はできるようです。

最初の登記が終わった後でなければ、次のものには取りかかれませんので順番待ち、という形になりますかね。

ただし、相反する登記(理論的に登記ができないような場合)はだめ。

例えば、最初にAさんからBさんに所有権移転登記が出されていて、次にAさんに対する抵当権設定をするような場合は、最初の登記で所有者がBさんになるため、Aさんに対する登記はできないですね。


なので、一応登記中の別申請はできると言えるのですが司法書士なら、やりたくない登記ではあるでしょう。

登記事項の閲覧、確認ができないので、万が一予想と違う登記がされていたら、却下もあり得るし、そんなんだったら、申請してない!というケースもあるでしょう。(一番抵当権の設定のつもりが、先に抵当権つけられていたり、差押えの登記が先に入っていたり)

不動産の登記申請中に、別の登記申請をする

取り止めのない話になりましたが、要するに、登記については、順番は重要で、連件で出来るものであれば、連件でしたいけど、実務的には色々あるという・・・・・

法律

Posted by ymo