先取特権ってなんだぁ?

先取特権(さきどりとっけん)とは、法定担保物権の一種であって、一定の類型に属する債権を有する者に付与される、債務者財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利をいう(民法第303条)。

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まあこれだと、何のことだか分かりませんが、要するに、誰(≒どの債権者)が優先的に、お金をもらえるかっていう話であります。
例えば、私は、色々な人から借金をしました。銀行もあれば、個人からもお金を借りています。更に商売の仕入業者に、代金の未払いもあり、税金も滞納しています。社員に給与の未払いもありますし・・・・・・・
こうした場合、誰を優先して払うべきか、というか誰が優先的にお金をもらえるかということについては、やはり法律で権利関係が決まっています。
正直言って、全部の整合性を考えるのは、非常に難しいので、場合場合によって異なりますが。
この時に、優先的に債権の権利を発動出来ることを、先取特権と言うのです。
よくある先取特権として、いつも腹が立つというか、よく出来ているなと思うのが、やはり税金はちゃんと先取特権に組み込まれているということです。

国税徴収法上の先取特権

国税徴収法8条により、原則として国税は納税者の総財産について全ての公課その他の債権に先だって徴収される(国税優先の原則)。

地方税法上の先取特権

地方税法14条により、原則として地方団体の徴収金は納税者や特別徴収義務者の総財産について、国税などを除き、すべての公課その他の債権に先だって徴収される。

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本当、よく出来ていますよね。その辺は。
こういう法律がありますので、税金の滞納がある場合には、よく注意しなければなりません。
しかも税金の滞納は、はっきりしない場合があるから特に問題です。
例えば、3月20日に、不動産を担保にお金を貸したします。
ちゃんと抵当権を設定しましたから、安心していましたが、実は3月15日に確定申告の所得税の納付期限があり、それを実は払っていなかった。なんてことも起こりえます。
確かに3月15日に所得税の納付期限はありますが、税務署が督促してくるのは、それから数カ月後です。
当然3月20日の時点では、本人は未払いであること自体忘れていても不思議はありません。
これで、税金→抵当権の順に、債権の先取が決まってしまいます。
不動産を担保にしているからと安心していても、その不動産を売却して(競売でも)、お金を返してもらおうと思っても、税金が先になります。
不動産を担保にとっているからと言って安心できないわけです。
なんだかなあ。
ここで重要なのは、抵当権の設定が、国税の納付期限より前か後かということになります。

国税徴収法(法定納期限等以前に設定された抵当権の優先)

第十六条 納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。

法律

Posted by ymo