税金対策-欠損金の繰越控除

仕事がら、節税・脱税について、調査研究を日夜重ねております。
今回は「欠損金の繰越控除」です。
欠損金の繰越控除って書くと、なんだか難しそうですが、要するに、赤字は翌年の経費と同じ扱いになるよというものです。
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情報源: No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|法人税|国税庁
基本は以下の通り。

[平成27年4月1日現在法令等]

確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。

平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年とされています。

 
※なんで平成27年4月1日現在法令って、入れてあるかというと、毎年の税制改正で、繰越期間が変更になったり、控除の割合が変更したりすることがあるので、毎年チェックしないとだめなもんで。
 
でまあ、ぶっちゃけ、これも税金対策というのはどうかとも思います。
税金対策=その年度の税金を減らすにはどうすればいいかという定義であれば、まあ過去に赤字決算をしていれば、その年度の黒字はその分だけ帳消しにできるというものなので、意味はありますけどね。
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逆に言えば、毎年黒字、9年とか10年とか以上連続黒字の企業には、全く関係ないということにもなりますが、そんなに儲かっている企業は少ないというのが一般的定説なので、一応有効性はあるということでしょうか?
 
さて、ルールは以下の通り。

1.9年以内に開始した事業年度の欠損金であること
2.青色申告書である確定申告書を提出していること
3.その後、連続して確定申告書を提出していること
4.帳簿書類等を保存していること

まあ、この条件なら普通の会社は大丈夫そうですね。
 
あとですね、中小企業には関係ないんですが、
・資本金1億円以下の中小法人は生じた赤字すべてを繰越欠損金とする
となっていて、大企業は全額控除とはなりません。
私には大企業は関係ないので、この辺は省略します。
 
 
さて、これだけだと、普通の解説でつまんないんので、少し付け足しを。
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成長を続けている企業、そしてその成長を金融機関の融資を受けて続けている企業の場合は、ちょっと問題です。
なぜって、金融機関は赤字を常に嫌うからです。
融資を受けたい→黒字決算→融資を受けたい→黒字決算という連鎖を続けている限り、赤字は出ませんので。
まあ、過去の設備投資が未稼働になっていて、今年に一括して除却しちゃおうとかいう場合でも、ではなんで、そんなものずっと取っておいたのとか、まあ色々、金融機関は心配するでしょうし・・・・・
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それから、税務調査にきちんと対応できない会社なんかも問題ですね。
税務調査後に、内容がひどいと、この欠損金の繰越控除の条件のひとつである、青色申告を過去にさかのぼって取り消して、繰越控除をなかったことにして、税務署が税金を課してくるなんてことがありますから。
まああくまで内容がひどい場合ですが、それも税務署の裁量ですし、世の中何があるか分かりません。
 
ん?でもまとめていくと、

ずっと黒字とか、脱税しているとか、そういう企業以外はありがたく使える対策ということでしょうか?

なんだかなあ。

 
(これまで「税金対策」シリーズ 掲載)
第1回 税金対策-赤字会社を利用する
第2回 税金対策-未払費用の計上
第3回 税金対策-少額減価償却資産の一括費用計上

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Posted by ymo