一括借上・長期保証を信用するやつの気がしれない
さて、前提となる不動産用語をいくつか。
サブリース(sublease)とは又貸し、転貸のことである。不動産賃貸においては転貸を目的とした一括借上(いっかつかりあげ)のことをサブリースと言うことが多い。
一括借上とは、不動産会社が大家(オーナー)から土地・建物・付帯施設をサブリースで借り上げ、運営・管理を一気に引き受ける賃貸システムである。
不動産賃貸物件の最大の課題は、稼働率だ。
これはホテルを例にとってみれば、分かることだが、全100室のホテルが毎日100%稼働しているのと、50%稼働しているのでは、売上が倍違うことになる。
大家(所有者)は、自分にノウハウがなければ、不動産会社に仲介を依頼するわけだが、いくら管理をお願いしたところで、その不動産会社が、稼働率を上げてくれるかどうかは、不動産会社のその地域での能力、そして担
当者の資質、そもそもその不動産賃貸物件の良し悪しもあって、全くの未知数だ。
そんな時に、「一括」で借りてくれるなんて、なんて素晴らしいシステムなんだということになる。
おまけにそれにプラスして、
長期(10年とか20年とか)家賃保証
なんていう言葉が躍っていたりすれば、もう大家からすればこの上ない話なのだ。
でも、ちょっと考えてみればわかることだ、そもそもそんな契約をしてくれる借り上げてくれる側は、どうやって利益を出すんだろうと。
となれば、大東建託のような建てるところからする会社では、
- アパート建築の際の利益をもくろんでいる
だろうし、建てちゃった後については、
- 建物が竣工して引き渡された当初の2 – 3か月間は家賃収入が不安定であることから募集期間とされ、この期間内はオーナーに対して保証賃料が支払われない(免責期間)。
といった分で利益を出そうとか、
- 不動産会社の手数料、管理費
で利益を出そうとか、必ず何かを計算しているはずなのだ。
もちろん、地元の小さいな不動産屋に賃貸を任せるより、全国系の大手不動産会社に任せた方が、広告宣伝力(知名度)が違うとかあるかもしれないが、大手不動産会社はその分コストがかさんでいることも、考えればわかることだ。
だから、長期家賃保証のサブリースシステムなんていうのは、賭けと一緒なのだ。
という認識をしている人が、少ないような気がする。
つまりリスクをどれだけ認識しているかということだ。
ちょっと調べれば、
- 転借人は人口減少、大都市への移転などで急速に空室、家賃相場下落が起きた場合を避けるため数年毎に見直す条項を入れており、超長期の家賃保証を避ける体制をとっている。
- 家賃保証の場合は、実家賃(実際入居者が支払う家賃)と転貸家賃(オーナーから一括借上げる家賃)の差額(保証料)は10〜15%であるが、転貸開始後数年(3〜4年)で空室発生が激しく家賃を下げざるを得ずこの差額が逆転するケースが発生している。このためオーナーと借上げ会社との見直しでトラブルが多発しているが、殆どオーナー側が譲歩せざるを得ない場合が多い。
- 「長期一括借上げ方式」のアパート専業会社が大きい利益を上げたため、他のハウスメーカーや建設会社などが一斉にこれに参入し人口減少の中でアパートの乱立し既存のアパートの空室率は年々高くなり地方の物件は空室50%以上も珍しくない。
- 大手専業会社も「一括借上げ方式」の管理では利益をほとんど上げておらず、利益の80%は建物の建築で稼いでいる(上場会社のセグメント情報で実態が判る)。このためサブリースを行って長期的に利益を確保するのではなく、家賃保証をセールストークに建物を建てさせることが目的となっている。
といったことが書いてあるわけだから、こういった点についてのリスクを十分に考察していないこと自体、もうだめだめなわけである。
なんだかなあ。
もっとも、そんなことをきちんと考察できる情報力と分析力があれば、サブリースシステムなんて使わないわけであり、その辺は、仕方ないことなのかもしれない。
しかしながら、本気で「長期保証」を信じられる方がどうかしており、ちょっと契約書や説明文を見れば、「家賃は変動する」ことが書いてあるわけなので・・・・・
まさか今時元本保証の株式投資があるなんていうことは、誰も思わないのに、長期家賃保証は信じてしまう、その感覚がよく分からない。
よくアパート経営するのに30年一括借り上げとありますがあれは何か罠がありますか?話がうますぎて不審に思います。
このYahoo知恵袋に質問している人が、当たり前の感覚だと思うのだが、どうして土地持ちの方はそんなことも理解できないのか不思議である。
過去に最高裁判例も サブリース物件の家賃減収は泣くしか無い?
こうやって、最高裁の判例にも出ているにもかかわらず、
家賃減収、大家が提訴へ レオパレス21「10年不変」 朝日新聞デジタル 2/22(水) 3:21配信
いまだにこんな裁判を起こす人がいるんだから信じられない。
国土交通省は昨年9月、契約時に「将来的に家賃が減る恐れがある」との説明を業者に義務づけた。
ってありますけど、契約書には数十年以上前からこうしたことは書いてあるんですがね。
まあこの「レオパレス」については、まさかとは思うけど、契約書に書いてなかったのかな?
それに
同社は「30年間、賃料は減額しない」と説明。契約書では「賃料は当初10年間は不変」と明記されたが、経営難を理由に11年10月に約10万円の減額を求め、男性はやむなく受け入れた。だが業績の回復後も家賃は戻らないことから、男
なんて書いてあるから、おいおいって感じだな。
まさか当初10年は不変と書いておいて、7年もしないで減額しちゃだめだよな。
なんだかなあ。
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