消費税って面倒くさいー不動産競売に関係したお話

法人の決算や個人の申告に関わる度に思います。
消費税って、本当に面倒くさい。
例えば、課税業者と非課税業者がいます。
非課税業者だった会社が翌年は課税業者になったりします。

課税取引と非課税取引があります。
土地の売買は非課税です。

さて、裁判所が主催する不動産の競売というものがあります。
とある法人(不動産業:課税業者)が、競売で1,000万円で中古住宅を買いました。
その中古住宅を1,000万円で売りました。
さて、消費税はどのように計算されるか分かりますか。
消費税は、極めて単純に言えば、もらった分から払った分を差し引いて残った分を国に収めます。
シンプルな例で言えば、55円で仕入れたものを110円で売ると、お金は55円残りますが、5円は消費税なのです。(受け取った消費税は10円で、支払った消費税は5円)
不動産競売の事例に戻ります。
まず、中古住宅を売った1,000万円ですが、土地と建物をそれぞれ、いくらで売ったのか。
事例では、単純化のために1,000万円で仕入れて、1,000万円で売っていますが、実際には、仕入れた後に色々手をかけて売るので、仕入れた時とは金額が変わってきます。
極端な話ですが、建物は1円で、土地が9,999,999円で売ることだってあるかもしれません。
例えば、建物付きだけれども、建物は解体することを前提で買う人がいるかもしれません。
国税庁のHPには、
ということが書いてあり、それによれば、
土地とその土地の上に存する建物を一括して譲渡した場合には、土地の譲渡は非課税ですので、建物部分についてのみ課税されます。
建物と土地を一括譲渡した場合の建物代金
この場合、譲渡代金を
[1] 譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分
[2] 相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
[3] 土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費、支払利子等を含みます。)を基にした按分
などの方法により土地と建物部分に合理的に区分する必要があります。
なお、それぞれの対価につき、所得税又は法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いにより区分しているときはその区分した金額によることになります。
とありますが、そもそも
建物と土地を一括譲渡した場合で、建物代金が区分されていないときは、建物代金はどのように計算したらよいでしょうか?
建物と土地を一括譲渡した場合の建物代金
という質問に対する回答なので、契約書に建物代金が明記されていれば、この限りではないでしょう。
さて、遠回りしてきましたが、ここからが本題です。
不動産競売をご存知の方でしたら、分かると思いますが、競売ですが、いくらで落札されるか分かりません。
なので、当然、土地と建物を区分してそれぞれいくらなんていうことは、裁判所が決めてくれるはずもありません。
そして国の一機関である裁判所がこれを取りまとめているし、お金も裁判所に払うので、消費税が発生しないという説が出回っています。
消費税はモノを購入したり、サービスを利用したときに課税される制度です。課税対象は法律によって厳密に決められており、日本国内では事業者が事業として資産の譲渡や貸付け、および役務の提供に対して課税されることになっています。従って、不動産会社は事業として新築・中古マンションを販売しているため、消費税が発生します。 一方、不動産競売は債権回収のために行われる手続きで、事業者ではなく裁判所によって行われます。このため消費税の課税対象にはならないのです。
競売マンションは消費税ゼロってホント!?
ですが、これは誤った解釈のようです。
なるほど消費税の課税・非課税の話としては筋が通っているように見えますが、実は会計上は課税取引となります。
競売であっても消費税は課せられる。例えば、建物と土地と一括で競売の場合、建物は課税資産であるし、土地は課税されないため落札金額をどのように分けるかが消費税の納税額に直接影響することとなる。
競売の時の消費税 土地と建物 落札金額をどう分けよう
国税不服審判所の裁決事例(平15.11.21裁決 裁決事例集No.66-322頁「適法な競売手続により落札された競落代金は、裁判所が評価した最低競売価額より相当高額になったとしても、課税資産の譲渡等の対価の額として相当であるとした事例」)において、上記のような場合、裁判所評価額(最低売却価額)により比例案分することが示されている。
ちなみに競売にかけられて不動産を強制的に売却されてしまう人は、建物分については消費税が課税されるそうです。
もっとも、競売にかけられるような人(法人)がきちんと申告をするような状態かというと、そんなことはあまりなさそうなので、表面化しませんが。
ここまでつらつらと書いてきましたが、消費税がからむと、税金の計算が途端に難しくなります。
すべては、課税される人(法人)と課税されない人(法人)、課税される取引と課税されない取引が微妙に区別されているからなのですが、こういった細部を本当に理解している人は、税理士や公認会計士を除いてどれだけいるのでしょうか?
なんだかなあ。
ちなみに昨年10月から消費税が10%になったのと同時に軽減税率が導入され、複雑さを増している消費税ですが、数年後にはインボイス制度も始まります。

国はブラックボックスを作って、税金の計算を国民から切り離そうとしているとしか思えないのですが・・・・・。
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