「李下に冠を正さず」なんてなことを今は言わないんでしょうね。

2020年11月22日

もう年寄なんでしょうね。

今時、こんな言葉は使わないんでしょう。

斉の国に虞姫(ぐき)という女性がいました。
彼女はとても頭のよい人で、当時の王である威王に愛されていました。ある日、虞姫は威王の家臣たちが悪いことをしていることに気づき、まだ気づいていない威王に忠告しました。ところが威王は政治のことに口出しをしてきた虞姫の態度が生意気に感じられて、忠告を聞くどころか逆に腹を立ててしまい、虞姫は囚われの身となってしまいました。

囚われた虞姫威王に言いました。
「王のような人の上に立つ立派な人物は、何か大きな問題が起こる前に気を配ってそれを防ぐべきです。他人から疑いを受けるような立場になってはいけません。たとえば、瓜(うり)の実がなっている畑の中では身をかがめて靴を履きかえてはいけません。瓜を盗んでいるのではないかと疑われるからです。李(すもも)の木の下では頭の上でずれた冠を直してはいけません。手を伸ばして李の実を盗むのではないかと疑われるからです。私は、王がそのような立場にならないように、悪い人たちのことを忠告したのです。」

ことばのレシピ語楽 故事成語の詰め合わせ 瓜田に靴を納れず 李下に冠を正さず

長い引用を使いましたが、「王のような人の上に立つ立派な人物は」・・・・ここがポイント!

別にね、どうでもいい人ならいいんですよ。

もっと言えばね。人に上に立つ人物でも、だめならだめって話なら別にいいんですよ。

でもね、お前はだめだよ。

黒川弘務氏は検察ナンバー2とされる東京高検検事長で、63歳の定年を迎える直前の今年1月、それまでの法解釈を覆す“超法規的”措置により、いわゆる定年延長(正式には勤務延長)された人物です。森友事件をはじめ政権に不都合な数々の事件を“闇”に葬ったとされ、“政権の守護神”と異名を取っています。違法性が指摘される定年延長は、黒川氏を検察トップの検事総長につけるためではないかと見られています。

黒川検事長は検察庁法改正で68歳まで検事総長をできると法務省~やはり「政権の検察支配法案」(相澤冬樹) – 個人 – Yahoo!ニュース

この黒川さん。

外出自粛が叫ばれている中、黒川弘務・東京高検検事長が新聞記者たちと賭けマージャンに興じていたというから驚かずにはいられない。
黒川検事長訓告処分を受け、現職を辞した。金額が少ないとはいえ法曹界に身を置く人間が違法行為を行っていたことに対する処罰が訓告だけ、また懲戒免職ではなく辞職ということに納得がいかない人は多いだろう。

黒川検事長 コロナ禍の「賭け麻雀」報道で陰謀説が飛び出す背景(2020/11/22リンク切れ)

外出自粛もいい。

賭けマージャンをしていたのも100歩譲っていい。

ところが、訓告で、辞職。

おまけに退職金までもらったらしい。

黒川さんが自分で辞めたくてリークしたのだろうが、誰が流した情報だろうが、そんなことはどうでもいい。

そして賭け麻雀だってしたい人はするだろう。

でも、法に問われないというのは、これだけはだめだ。

ちゃんと本人が認めているにも関わらず!だ。

安倍内閣、06年に賭けマージャンは賭博と閣議決定(2020/6/13リンク切れ;yahooニュース)

閣議決定までしておいて、まして検察庁のナンバー2がやって、法に問われない。

なんだかなあ。

もう李下に冠を正さずどころか、ちゃんとした桃泥棒である。

これが罪に問われなくて、何が問われるのか?

検事長は,高等検察庁の長として庁務を掌理し,かつ,その庁並びにその庁の対応する裁判所の管轄区域内にある地方検察庁及び区検察庁の職員を指揮監督しています。

検察官の種類

法律を適正に運用し、特に刑法をメインにやっている立場の人達のトップが、これで、何をどうしろというのだろうか?

そしてこの話は、ぐずぐずっと終わっていくのだろう。

なんというか、別に死刑にしろと言っているわけではない。

法に決まっていることを適正に運用しようと言っているだけなのだが。

これで、共産主義中国を非難する資格はもうない。

法治国家(ほうちこっか、: Rechtsstaat、: État de droit)とは、その基本的性格が変更不可能である恒久的な法体系によって、その権力を拘束されている国家

法治国家

日本は法治国家ではない!

余談であるが、朝日新聞とか新聞記者がどうのこうのというのは、正直言ってどうでもいい話だ。

どうせ新聞とはそんなもんだと分かっている人にとっては。

【追記:2020/6/1】(ええと原稿作成は5/31だったので。)

こんなことを言い出す人を見つけてしまいました。

黒川元検事長がもしも暴力団関係者と賭け麻雀をしていたということであれば、それはもちろん言語道断の行いで弁解の余地はないですが、そうではなく、しかも勤務時間外に行っていたということですから、私はレートの高低にかかわらず賭博罪として問題にすることは妥当ではないと思っています。また、個々の賭け麻雀が賭博行為と見られない以上、それを習慣的に繰り返していたとしても、常習賭博に当たらなりことは当然です。正の数字をいくら重ねても負の数字にはなりません。

黒川弘務元検事長の賭け麻雀については擁護したい

これを書いている人が、弁護士で、大学教授なんですよねえ。

この人が言うには、

また、刑法は「一時の娯楽に供する物を賭けた」場合は処罰しないとしています(刑法185条但し書)。「一時の娯楽に供する物」とは、簡単な食事とか飲み物の類いです。ギャンブルという行為そのものを問題にするならば、金額の多寡は問題にならないはずですが、金銭も「一時の娯楽に供する物」に相当するような金額であれば「賭博」には当たらないとされています。

黒川弘務元検事長の賭け麻雀については擁護したい

この人の文章を読んで、意味の分かる人がいるのだろうか?

  • 「一時の娯楽に供する物」=簡単な食事とか飲み物の類い
  • ギャンブルという行為そのものを問題にする=金額の多寡は問題にならない
  • 金銭も「一時の娯楽に供する物」に相当するような金額であれば「賭博」には当たらない

一番目と二番目の文章はつながっていない。

「一時の娯楽に供する物」が金銭であるとは言っていない。(3番目に出てくる。)

ギャンブル行為に金額の多寡は問題にならない・・・・・なら多くてもいいの?

「一時の娯楽に供する物」に相当するような金額っていくら?

この文章を読んでいてこれだけ意味不明なのに・・・・・これは完全に人を煙に巻く言い方だ!

なんだかなあ。

この人が言う通りなら、

第1次安倍内閣は、鈴木宗男衆院議員(当時)の外務省職員による賭博に関する質問主意書に、06年12月19日付で「一時の娯楽に供する物を賭けた場合を除き、財物を賭けて麻雀を行い、その得喪を争うときは刑法の賭博罪が成立し得るものと考えられる」と閣議決定している。

安倍内閣、06年に賭けマージャンは賭博と閣議決定(2020/6/13リンク切れ;yahooニュース)

という閣議決定は、法律に違反していることになる。

そして、これを前後を抜き出しているだけの文章であるなら、この記事も恣意的で間違っていることになり、なんだかもう訳が分からない。

私が問題にしているのは、

①法律が適切に運用されているかははっきりしない

②「李下に冠を正さない」行為

の2つを言っている。

検察庁の№2が、賭けマージャンをして、認めているのに、法に問われず、訓告だけで、辞職しただけ、退職金ももらえるのかという点なのだ。

もし仮に、賭博罪に当たらないなら、当たらない理由を明確にしない点もある。

まさにこの方の言っている通りなら、それでいいと思う。

但し、解釈論でこれだけ違う話が一般に通ってしまうことが、まさに問題としている1点目に当たる。

【追記の追記:2020/6/1】(ええと原稿作成は5/31だったので。)

衆院法務委で、山尾志桜里衆院議員の質問に、法務省の川原隆司刑事局長が「旧知の間で、レートはいわゆる点ピン。具体的に申し上げますと、1000点を100円と換算されるものでございまして、もちろん賭けマージャンは許されるものではありませんが、社会の実情をみましたところ、必ずしも高額と言えないレートでした」と述べた。

黒川麻雀「点ピン」法務省答弁にネット沸騰「点ピン合法キター!」「黒川基準」

またえらく微妙な書き方だよな。

日本語として考えれば、高額と言えないとは言っているが、賭博にはならないとは言っていないような気もするんだが・・・・・

結局解釈論なんですね。

この見解を受けて、

これをうけた一部の麻雀愛好の士が、「新基準の礎を築いてくれた黒川元検事長に敬意を表し」(主催者発表より)、今回の判断を下した検察庁前の路上に集まり、記念の麻雀大会を催した。

近隣の警察が集まり大会は混乱 意図せず注目された麻雀「黒川杯」の様子

こんなことをしちゃってる人もいるんだけど、これを警察官が大挙して圧力をかける・・・・

なんだかなあ。

なんなんだよ、これ。

なんかおかしいなと思うのは私だけ?

結局、「李下に冠を正さず」どころか、合法化。

閣議決定はなんだったのか?

前段の弁護士の先生のお話はなんだったのか?

なんだかなあ。

法律

Posted by ymo