法務局の登記の意味

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法務局に登記されているっていうのは、世の中の誰でも法務局に登記内容を見に行けば、その内容が分かるということが重要だと思うわけです。
例えば法人登記について言えば、その会社の本店所在地や資本金や会社の目的といったものが、登記簿謄本を取れば、誰でも分かります。
今はネットの情報が発達していますから、簡単に色々調べられるようになりましたが、ネットの情報が確実に正確である保証はされていません。
その点、法務局の登記はその真実性を担保したものであるという意味から、重要なのは分かります。
でも、でもですね。
内容はおおむね誰が見ても理解できるようにするべきだと思うのです。
(と書いていて、これは法務局の問題ではないのかもとちょっと考えていますが・・・・・)
 
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ここにとある協同組合の登記簿謄本があります。(コンピュータ取得ではありますが。)
この登記簿には「東京都知事の命令により解散」とあります。
 

組合が正当な理由がないのにその成立の日から1年以内に事業を開始せず、若しくは引き続き1年以上その事業を停止しているときは、行政庁は業務改善命令を経ないで、直ちに解散命令が出せることになっております。
この運用の具体的な判断は、「基準日から遡って3年間、所管行政庁に対する届出・許認可の申請等が一度もなされていない組合に対して、中小企業等協同組合法第106条第2項の規定に基づく解散命令を発動するものです。
この命令があった場合には、組合は直ちに解散し、解散の登記も行政庁の嘱託によって職権抹消されます。
3年に一度、休眠組合の整理を行なっています。決算関係書類の提出を怠っていると、行政庁は活動実態のない休眠組合とみなし、解散命令を発する場合がありますので、組合事務局におかれましては遺漏なきよう、必ず提出くださるようお願いします。

 
一般的な感覚だと「解散」したんだから、この協同組合はなくなっていると思いますよね。
この協同組合はなくなっているんだから、今後この協同組合の権利を主張する人はいなくなると思ったんですが、事はそうは簡単ではないのです。
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例えば、Aという会社がこの解散させられた協同組合よりお金を借りていたとします。
Aという会社は、この解散させられた協同組合から返済の督促もこないし、解散したんだからと放置しておきました。
ところがAという会社の持っている土地に、この解散させられた協同組合の抵当権が設定されていました。
この抵当権の設定を解除しようと裁判所に申し立てをしたら、この解散させられた協同組合の清算人から、権利(債権を持っている)を主張され、抵当権の解除が出来ない場合があるのです。
(まあこの場合、その債権の時効の問題は別途あるのですが・・・・・)
 
つまり、法人・協同組合の権利は、その死後(解散・閉鎖等)も、継承される場合があるということなのです。
まあ個人について言えば、個人の死後、相続人がその権利を引き継ぐのは感覚的に分かるんですが、法人・協同組合の「死後」その権利が引き継がれる可能性があるというのは、どうも感覚的に受け付けません。

なんだかなあ。

 
で、もっと言えば、弁護士の先生に言わせると、

解散命令の場合、法人格は清算法人に引き継がれて清算法人として存続していることになります。
代表清算人が選任されていることも登記上読み取れます。
したがって、清算結了の登記がなされていない以上、現在も清算法人として法人格は存在しています。

なんだそうです。
ええええ、法人格は存在してるの・・・・?

なんだかなあ。

 
で、何を言いたいのかと言うと、
解散と書いてあれば、「解散(かいさん)とは一定の目的で集まった、または集められた人や物、またはその両方から成る団体又は集団が、社会的な意味でその団体(集団)としての特性を失い消滅することをいう。」
だと思って、なくなってるじゃんと思ってしまうわけですが。
そもそも、亡くなってないし、その権利なんかが消滅しちゃうわけではないんだということが、もう少し謄本には分かりやすく書いてあればなあと思ったわけです。
法務局の登記は、分かる人には分かるという専門家のためのものではない部分も、どんどん増やしていって欲しいなと思う次第であります。

法律

Posted by ymo