一度作ったものを立て直す(作り直す)のは大変だということ

2021年1月11日

前例主義とは、「その事柄に適した処理を考えることなく、過去の似たような事例にならって処理すること。先例重視の考え方。先例主義。」という意味ですが、人間すべての処理案件について、毎回最適解を考えることなど出来ません。

自然、前例に倣うということが多くなります。

突き詰めて言えば、1+1=2と計算するのが当たり前ですが、数学者ではそれを証明するという命題もありますが、一般の人には関係ありません。

とすると、どこからどこまでは「適した処理を考える」べきかについては、それについても個々人によって判断が変わってきます。

さて、第二次世界大戦以降、日本という国の大きな枠組みはそれほど変わっていません。

もちろん細部は変わりましたが、基本的な構成はそのままで、どんどん前例を積み上げていって、リフォームにリフォームを重ねている感じがします。

そうでない国があるのかと言われれば、知らないのでなんとも言えませんが、法律ひとつとっても、現在ではどこにどう法律が絡んでいて、新しい法律を作るとどこか別の法律に矛盾してこないかという点について、即座に答えられる人はいないでしょう。

何せ法制審議会という所で、憲法の解釈まで確認をしていても、色々な意見が出て、話しがまとまらないのですから。

さて、今回、ニュースで見たこれもそれの一つだと思います。

消防活動をしていないのに報酬や手当を受ける「幽霊消防団員」が各地で広がっている。消防団員は非常勤特別職の地方公務員。その活動実績は地方交付税の算定根拠になっている。
団員の成り手不足が深刻化する中、活動需要があると装って予算を確保する苦肉の策とみられ、政府は実態調査に乗り出した。

活動してないのに報酬3億円 「幽霊消防団員」、その実態は?(2021/1/11リンク切れ)

さらっとニュースで流れていますが、果たして計算が合っているかどうかは別にして、とある計算によれば、「3億円」も活動していない人の活動費として支払われているのです。

3億円ですよ。

個々人にとっては、天文学的な数字です。

ところが、これをどうにかしないといけないとか、どういう風にしてなくすとかいうことになると、恐らく誰も最適解が見いだせないで、止まってしまうのだと思います。

消防団員については、地元地元で何らかの活動をしていることを、地方に来てから初めて知りました。

きっと都会でもなんらかの活動を誰かがしているのでしょう。

実際に多くの人にとってはそんなものです。

で、これを失くして良いものなのか、無くなったらどうなるのか?

正直言って誰にも答えが出せないでしょう。

それだけ、自然と当たり前のものとしてあり、もはやそれが何のためにあって、無くなったらどうなるのかについて、明確に答えられる人がいないのだと思います。

そうでなければ、3億円ものお金が黙って流れていることについて、誰も文句を言わないとかありえないわけです。

このお金の流れに係っている人は、1人二人ではありません。

おそらく数千人単位の人がかかわっているのに、見過ごされているのです。

それだけ、一度作ったものを修正するのは、組織が大きくなればなるほど大変だということの例だと思います。

で、やっかいなのは、この3億円が、誰か特定の個人が利益を享受している訳ではないということで、恐らくもっと大きな、何か別の角度から問題が出ない限り、この話はスルーされていくのでしょう。

なんか日本にはこういった話がこれに限らず、どこかにいくつもあるような気がしてならないのですが・・・・・

なんだかなあ。

法律

Posted by ymo