トリチウム水、ほら見たことか
2016年に「凍土壁」について、3回、当ブログでも取り上げましたが、久々に福島第一原発ネタが、ニュースに出てきましたので、取り上げました。
東京電力福島第一原発の敷地内にたまる処理済み汚染水の処分方法について、政府が海に放出する方向で最終調整していることがわかった。早ければ月内にも関係閣僚会議を開き、正式に決める方針だ。タンクの水を二次処理して海水で薄め、放射性物質の濃度を法令の放出基準より十分低くしてから流す。準備に2年程度かかる。風評被害が懸念されており、対策を福島県などと協議していく。
福島第一原発の処理水、海洋放出へ 政府が最終調整
言葉が独り歩きしてますが、「処理水」と「汚染水」と、微妙なニュアンスの違いがあるような気がします。
海に放出する場合、タンクにたまる処理済み汚染水をもう一度ALPSで処理し、トリチウム以外の放射性物質の濃度を環境中に放出してもよいとされる法令の基準値(告示濃度)を下回るまで下げる。その上でトリチウムも告示濃度よりも十分低くなるように海水で薄める。
福島第一原発の処理水、海洋放出へ 政府が最終調整
2016年当時のブログでも指摘していましたが、延々と放射能を含んだ水をため続けていける訳もなく、いつかはその「水」をどこかに放出しなければならないことは、当時から明白でした。
ここで問題なのは、その「水」が何に「汚染」されていて、現在の技術でその「汚染」をどこまで除去出来て、「処理」された水になっているかという点です。
政府は、「法令の基準値を下回るまで下げ」て海に放出すると言っているのですが、どうも2011年の福島第一原発の当時の騒動が記憶に残っていると、何をどこまで信じていいのか、分かりません。
また、その「水」に何が含まれているかも、いまいち明確に報道されていません。
まず第一に、トリチウム以外の放射性物質は本当に取り除かれているのか?
そして第二に、トリチウムは、薄められれば問題ないのか?
政府の発表では問題ないとされていますが、どうもその辺が疑心暗鬼になっているような気がします。
こうしたまとめ記事を読んでも、薄めれば大丈夫的なことしか書いていないので、どうにも判別がつきません。
まあ、
ALPSでは、トリチウムは取り除けませんが、62種類もの放射性核種を基準値以下にできるとされていました。しかし、2018年9月、東電は、ALPSで処理した水のうち、84%が基準を満たしていなことを明らかにしました。
福島の声を聴いてくださいーー福島県の40以上の市町村議会で汚染水意見書
こんなことがあれば、放出自体を反対する気持ちも分からないでもありません。
しかしながら、いつもそうなのですが、対案がありません。

一応処分方法として別の4つの方法も検討されたようですが、コストや期間の関係から、海洋放出案が進められています。
個人的には、そもそもこの問題は2016年、凍土壁を検討していた時から、すでに分かっていたことであり、問題を先延ばしにしてきたのは誰かという問題があるような気がします。
福島の人達からしたら、散々先延ばしにされた挙句、時間がないから、コスト的にも「海洋放出」と言われてるような感じもして、ひどいじゃんという話です。
ですが、トリチウムだけであれば、どうも比較対象があり、なんで殊更福島第一原発の処理水だけ騒がれるのかという点も、検討の余地があります。
①天然のトリチウムは年に約7京(7万兆)ベクレル発生
②地球上には100京~130京(100万兆~130万兆)ベクレルが存在
③日本全国の原子力発電所から海に放出されていたトリチウムは、合計で年に約380兆ベクレル
④処分方法が議論されている福島第一原子力発電所のトリチウムは、全部で860兆ベクレル
⑤フランスのラ・アーグ再処理施設のトリチウム放出量は年間で約1京4千兆(1万4千兆)ベクレル(2015年)
原子力発電所から出るトリチウムが心配です
まあ、どうせ政府広報でしょうから、信じられるかどうかは別ですが・・・・・。
月城原子力発電所からのトリチウム年間放出 2009年までは400テラベクレル超
(2010年以降半減している)
福島第一原発に貯留されている現在のトリチウム総量は1000テラベクレル
福島第一のトリチウム水にイチャモンをつける韓国は、その6倍以上のトリチウムを日本海に放出(改訂)
こういう指摘もあり、じゃあなんで福島第一原発の「水」の放出だけ、目の敵にされるのかという問題もあると思うのです。
こうしてみると、科学的な議論がなされず、かなり感情的になっているであろうことを考えると、個人的には秘密裏に放出してしまった方がよいのではと思ってしまいます。
なんでもかんでも広く一般に知らせてやることが、果たしてどうなのかとも思ってしまいます。
でも、まあ、韓国からの↓この指摘には笑ってしまいますけどね。
東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける、トリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法をめぐって、韓国南部・チェジュ道の知事は、「放出された水は日本の海だけに流れ込むのではない」として、日本政府に海に放出しないよう求め、要求が拒否された場合には、沿岸住民などに呼びかけて日本と韓国でそれぞれ訴えを起こすことも辞さないという考えを示しました。
韓国知事 トリチウムなどを含む水 海洋放出しないよう求める(2021/2/3リンク切れ)
まあ、絶対安全だ!と言っていた原発がメルトダウンしちゃったあたりで、もう何を言っても、科学的な話し合いにはならないのですけどね。
なんだかなあ。
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