子宮頸がんワクチンの話

2021年7月2日

ニュースを見ていたら、意味不明なニュースがあった。
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情報源: 子宮頸がんワクチン調査 名古屋市が結果を事実上撤回 | NHKニュース

子宮頸がんワクチンの接種後に出た体の痛みや記憶力の低下はワクチンによるものかどうか、全国で初めて大規模調査を行った名古屋市が、ワクチンを接種したグループとしなかったグループとの間に症状の差は無かったとする分析結果を事実上撤回し、今後、データの分析はしない方針であることが分かりました。

なんだかなあ。

ニュースは確かに事実を伝えることに意義があるのは分かりますよ。
でも、これだとなんだか全然わかんない。

  1. 名古屋市はなんのために調査をしたの?
  2. データの分析をしない大規模調査って何?
  3. かかった費用についての責任は誰が取るの?
  4. だからどうして分析しないことになったの?

最後の「なぜ?」については、
分析方法に疑問が寄せられた
とか
河村たかし市長は「名古屋の中だけで判断、分析し、医学的見地から因果関係がどうだと言うのはなかなか難しい。逃げた言い方をすれば、国がやる仕事」と述べた(情報源: 子宮頸がんワクチン、副反応分析「国の仕事」名古屋市長:朝日新聞デジタル)
と言った話があがっていますが、
そもそも分析方法なんて専門家がきちんとやるもんでしょ、分析方法に疑問があったら、やり直せばいいじゃない。
調査そのものに問題があったら、その責任は誰か取ったの?
3万人にもアンケートを取って、その方法にやり直しのきかない致命的なミスがあったなんて、それだったら、ニュースは違ったものになると思うし。
名古屋の中だけで判断するのが難しいなんていうのであれば、そもそもなんで名古屋は3万人にもアンケートを取ったの?
全然意味が分からない。
例えば、
アンケートの取り方をこのように間違えました。
とか
国に先走って名古屋でアンケート調査しちゃいました。ごめんなさい。
と言ってくれた方がまだまし、分かりやすい。
 
この問題は調べてみると、どうやら子宮頸がんワクチンによる副作用の問題が、医学的科学的に明快になっていないからのようだ。
例えばあるサイトには、

  • 子宮頸がんワクチンの接種推奨年齢は小6~高1
  • ワクチンの効果が確認されている期間は9.4年
  • 接種時平均年齢を14歳とすると、効果があると確認されているのは23歳までで、その年齢での死者数はゼロ
  • 34歳までの死者も日本全国で年間わずか87人
  • 死亡者が多いのはむしろ中高年なのに、莫大な税金を投入して、少女たちにワクチン接種するのはなぜ?

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とあり、またあるサイトには、

  • 国が接種の積極的な呼びかけを中止して3年以上が経過する異例の事態
  • 国は、全国の医療機関を通じて同様の症状が出ている患者の状況を確認し、ワクチンの接種と症状の因果関係を調べる調査を去年から始めている
  • しかし、最終的な分析結果をいつ出せるのか、見通しは立っていない。
  • 子宮頸がんワクチンを接種する人は、ピーク時の100分の1以下に減っている。

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とあります。
 
まあ医療は難しい問題ですから、簡単にちょいちょいとは話がまとまらないでしょうけれど、
簡単に現状をまとめると以下のようになります。

  • 2013年(平成25年)3月31日までは、事業の対象者(おおむね中学1年生から高校3年生相当の女子)は無料もしくは低額で接種を受けられた。
  • 2013年4月1日以降は予防接種法に基づく定期接種としての接種が続けられている。
  • 2013年6月14日の専門家会議では、接種のあと原因不明の体中の痛みを訴えるケースが30例以上報告され回復していない例もあるとして、厚生労働省は定期接種としての公費接種は継続するものの、全国の自治体に対して積極的な接種の呼びかけを中止するよう求めた。
  • 呼びかけ中止により7割あった接種率は数パーセントに激減した。
  • WHOよりは、日本だけが接種の勧告を中止していることに関して日本を名指しで非難し、若い女性が本来なら避けられるはずのHPVの脅威に暴露されている、結果として真の被害を招きうる、と厳しい見解を示した

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ですから子宮頸がんワクチンの問題は、

①これまで接種して副作用?が出た人達の問題。

②今後、接種を公費補助をして積極的に進めるのか?、それとも希望者のみの現状のままとするのか?、危険なので全面的に中止するのか?という問題。

の2つになると思うのです。
 
さて、話を元に戻すと、3万人にもアンケートを取って名古屋市の情報を活用しないのは、なんとももったいない話だと、個人的には思います。
国の調査を待つのもいいですが、これはこれで活用すべきだと思うのです。
結局は国がいつまで立っても動かないことが、最大の問題点なわけですが、名古屋市の腰の引けた姿勢も

なんだかなあ。

と思わざるを得ません。
 
調べていて、ネットでこんなページを見つけました。
情報源: 正しくは「速報と変わらず因果関係なし」 名古屋市子宮頸がんワクチン副反応疫学調査「事実上撤回」の真相  WEDGE Infinity(ウェッジ)
ここによれば、結局名古屋市は一部の団体からのクレームを恐れて、結果をあいまいにした・・・・ようです。
 
こうなると、国も、過去の責任を問われるのが嫌で、方向転換や具体的な決定をするのを恐れて、決めないでいるのではないかと思ってしまいます。

なんだかなあ。

杉並B31-min
副作用の問題は確かに大きな問題です。
1人でも副作用に苦しむ人がいたら、その人は人生を狂わされます。
そして副作用かどうかの因果関係は、判別が難しいのが常です。
一方、ワクチンを打たなかったら、死ぬ人もいます。
ワクチンを打つと、何人副作用で苦しみ、ワクチンを打たないと何人死ぬ。
公平な世界はありません。究極の選択です。
これを明確に秤にかけて、公の場に情報を公開する。
こういうプロセスがなければ、いつまでたっても、こうしたぐずぐずの議論が続くのでしょう。