破産会社の印鑑証明書

相変わらず、訳の分からないことに、巻き込まれておりますが・・・・・。

とある会社の所有地に、未登記の建物があり、その建物を登記したいという話で始まり・・・・・。

土地家屋調査士に依頼した所、まあ当たり前ですが、とある会社が不動産を所有しているので、そのとある会社が建物のあることを承認しなければならず、実印の押印、ならびに印鑑証明が必要になるということになり、印鑑証明を取ってもらった所・・・・・

「破産手続開始の登記がある」と記載されていたのです。

まあ実際、破産手続きを開始した場合、弁護士に委任していたりするので、その後に、未登記建物の登記に協力するなんていうことは、あんまり(というか普通)ない訳でして・・・・・

そもそも弁護士に破産手続きを委任しているんだから、自分の会社の財産には手も触れないのが普通・・・・・

でもこの場合は、建物は別の人のもので・・・・・

その人も、今頃(土地所有権者が破産開始手続をしてから)、未登記建物を登記しようとか、タイミングを逸しているとしか思えないわけで・・・・・

ぐだぐだです。

なんだかなあ。

と、まあ背景はぐだぐたなんですが、それよりなにより、印鑑証明書に「破産申立中」と書かれてしまうという事があることの方がびっくりな訳です。

で、ググってみると、やっぱりちゃんとそういう情報はあって・・・・・

 破産手続開始の登記がされた会社その他の法人の破産手続開始の決定当時の代表者に係る代表者事項証明書又は印鑑の証明書の交付の可否について先例の変更がなされています(平成23年4月1日法務省民商第816号)。

 というのも,以前は先例により破産会社の代表取締役については印鑑証明書を発行できませんでした。

 しかし,平成21年4月17日最高裁判所第二小法廷判決(裁判集(民事)第230号395頁)がされたことから,取扱いが変更されたようです

 上記平成21年判決は,株主総会による取締役・監査役の選解任決議と,取締役会における代表取締役選任決議の不存在確認を求めるたところ,その直後に破産申立をし,破産管財人が選任された事案ですが,原審では,訴えの利益がないとして請求を棄却されていましたが,その後の上告審で訴えの利益があると判断され原審に差し戻したようです。

その理由は次のようなものです。

①民法653条は,委任者が破産手続開始の決定を受けたことを委任の終了事由として規定する

②これは,破産手続開始により委任者が自らすることができなくなった財産の管理又は処分に関する行為は,受任者もまたこれをすることができないため,委任者の財産に関する行為を内容とする通常の委任は目的を達し得ず終了するからである。

③会社が破産手続開始の決定を受けた場合,破産財団についての管理処分権限は破産管財人に帰属する

④一方,役員の選任又は解任のような破産財団に関する管理処分権限と無関係な会社組織に係る行為等は,破産管財人の権限に属するものではなく,破産者たる会社が自ら行うことができる

⑤そうすると,同条の趣旨に照らし,会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではない

このように破産者たる会社が自ら行うことができることもあり,代表取締役も破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社の組織に係る行為等についてはその権限を行使し得ると解するのが相当であるであるとして,印鑑証明書の発行が認められるようになったようです。

但し,破産手続開始の登記がある旨を付記することになっているようです。

破産会社の代表取締役の印鑑証明書(2011-08-19 14:52:29テーマ:商業・法人登記)

まあ、簡単に言えば、「破産財団に関する管理処分権限と無関係」なことは、別に法人自体がやっても問題ないから、印鑑証明書も出してあげていいよん!ということのようです。

ふむふむ平成21年以前は、印鑑証明書も凍結されてしまっていたようですね。
う~む。

ということは、今回の事例のような場合、印鑑証明書は出るけれども、それを使って、破産する会社の土地に、未登記の建物があって、それを登記するというのは・・・・・無理だろうなぁ・・・・・破産財団の管理している財産に直接影響を及ぼすよなぁ・・・・・と思うわけですが・・・・・

はてさてどうなることやら。

先があったら、追記します。

法律

Posted by ymo