税金対策-赤字会社を利用する
仕事がら、節税・脱税について、調査研究を日夜重ねております。
今回は「赤字会社を利用する」です。
この画像は全然関係ないですからね。
さて、赤字会社というのは、決算申告で、繰越欠損金を通常は計上しています。
まあ、細かい話はこちらをお読みください。
情報源: No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|法人税|国税庁
簡単に言えば、赤字を繰り越せるというものです。
例えば、とある年度で、赤字を100万円出しました。
翌年は、黒字が100万円あっても、通算して、利益(黒字)0円で法人税がかからないよ
というものです。
つまり、黒字を出している会社が、赤字の会社になんらかの利益を移転すれば、その分、税金は減るじゃんというものです。
そこで儲かっている企業は当然の節税(?)策として、赤字会社を探します。
なので、赤字会社も売れるという図式になります。
ですから、あながち、赤字会社が高く売れるという本も(内容しらないですが)タイトルは待ちがっていない気もします。
ところが、そんなこんなで、赤字会社を買って、節税をしようという人が増えたためなのでしょうか。
様々なルールがありすぎて、利用は現在は極めて困難な状態です。
なんだかなあ。
まず前提条件として、
1.青色申告法人であること
2.毎期決算書を提出していること
3.帳簿書類等を保存管理していること
4.対象欠損金が繰越期限切れでないこと
といった点があります。
情報源: 繰越欠損金とは?2015年4月法改正の内容と注意点
赤字会社なのに、毎年決算申告していて、おまけに帳簿がちゃんと保管されているなんて、ありえないでしょ。
そんな体力どこにあるのって感じです。
次に、
会社の50%超の株式を売買したあとに、下記の事項に1つでも該当すると、繰越欠損金は消滅してしまいます。
1)事業を止めて休眠していた会社の株を売買したあとに、新規に事業を開始した場合
2)株の売買前に行っていた事業は止めて(止めることが見込まれていて)、売買後の新規事業が、 旧事業の売上等のおおむね5倍を越える資金を借り入れた場合
3)株の50%超を保有している個人やその関連会社が、赤字会社に対する債権を買ってきたときに( その債権を債務免除又は現物出資することが見込まれていれば除か れる)、旧事業のおおむね5倍を超える資金を借り入れた場合
4)上記の①から③の場合において、その赤字会社を被合併会社とする適格合併を行うこと、 又はその赤字会社の残余財産が確定した場合
5)株の50%超を売買したことで、赤字会社の常務取締役以上の役員がすべて退任して、かつ、 赤字会社の社員の20%以上が退職した場合において、 新事業が旧事業規模のおおむね5倍を超えることになった場合
情報源: 赤字の会社を買収すると、繰越欠損金は消えてしまう|日本中央税理士法人・日本中央会計事務所
おまけにこの条件だと、事業は継続している、役員の大幅入れ替えはない、従業員も残っているなんて、さらにありえないでしょうとなります。
完全に、赤字会社を買って来て、税金を逃れられないようにしようという意図がみえみえですね。
こうなるとよほど慎重に、しないと、赤字会社を使う意味がなくなってしまいます。
また、赤字会社を買う場合には、他にも様々な問題があります。
氏素性の知らない人から買う場合(まあ知り合いでも危ないですが)は、簿外債務にも気をつけなければならないでしょう。
情報源: 簿外債務 – Wikipedia
また、こんな例もあるそうです。
1.赤字会社を買った。
2.その赤字会社には前社長への未払給与があった
3.新しい社長が税務調査で、その赤字会社の債務は払うんですかという質問に対して、払わないと言ってしまった。
4.債務が免除になり、債務免除益という益金計上をするはめになった。
情報源:赤字会社を使った節税には債務免除益という落とし穴がある(追記:2017/05/20 リンク先、消えちゃいました。)
情報源: No.4424 債務免除等を受けた場合|贈与税|国税庁
なんだかなあ。
だめだめな理由ばかり列挙しましたが、有効な施策であるには違いないのです。
よって、それをきちんとクリアする準備と計画が必要になるということを覚えておいた方が良いと思うのです。
気軽に、赤字会社を買って、ほいほいと税金が減らせるなんて、うまい話はやはり世の中にはないようです。
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