平成28年度税制改正(1)減価償却方法見直し

平成28年度の税制改正の中に、「減価償却資産の償却方法の見直し」っていうのがあります。
減価償却については、税金対策-少額減価償却資産の一括費用計上の中でも触れましたので、参考にしてください。
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さて、今回の改正内容は、

平成28年4月1日以降に取得する「建物付属設備」と「構築物」と「鉱業用減価償却資産」については、これまで認められていた定率法は、使えなくなりますよ

っていう話。
 

建物付属設備    改正前(定額法・定率法) →改正後(定額法)
構築物       改正前(定額法・定率法) →改正後(定額法)
鉱業用減価償却資産 改正前(定額法・定率法・生産高比例法) →改正後(定額法・生産高比例法)

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そもそも論、減価償却については、
①理解すること自体難しい
②計算方式が複数存在する(定率法・定額法)
③耐用年数も特定が難しい(その対象となる資産は何に分類されるのか?)
といった問題点があります。(問題と思っているのは私だけかも)
それをさらに複雑にしようっていうんですから、それなりの理由や理屈があってしかるべきと思われるのです。
 
ところがその理由が、ある解説書によると、

法人税率の引き下げに伴う財源確保における課税ベース拡大のため

とか

定率法による減価償却費の計算方法は非常に複雑になってしまい、一般の納税者が自らの減価償却費の額を正確に計算することが困難

といったことになっています。
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でもでもなんです。
法人税率を引き下げておいて、少しは他でカバーしようという理由で、このような細かいルール改定をするなんて、意味が分かりません。
それなら引き下げる率を減らせばいいじゃないかと思ってしまいます。
4月1日以前に取得していた資産は定率法で、それ以降に取得した資産は定額法でなんて事務の手間も増大するし、さらに理解も難しくなります。
定率法が「自らの減価償却費の額を正確に計算することが困難」って、じゃあ今までなんでその方法があったんだよとか、そもそも定率法を認められなくなったのは一部の資産だし、4月1日以前に取得した資産で定率法を採用していれば、どうせ今後も定率法なんですけど、ってつっこみを入れるは私だけでしょうか?
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要するに、この改正は、税制のルールをさらに複雑怪奇にすることに寄与したとして、納税者にとって、なんの意味もない変更ということです。
ルールが複雑になり、税金も増えるようなルールにして、どこに意味があるのでしょうか?
このブログでは何度も書いていますが、税金のルールは、出来るだけ簡単にして、計算しやすくするのが当たり前だと思うのですが、どうしても日本の税制を決める人たちは、ルールを複雑に、複雑にしていきたいようです。

なんだかなあ。

 
 
 

法律

Posted by ymo