ふるさと納税(2)問題点

ふるさと納税についてつぶやく第2回です。
 
第1回 ふるさと納税(1)金額的メリットと落とし穴
前回は、みんなが飛びついているふるさと納税はさぞ儲かるんだろうという話と、それに飛びついて損をしている人もたくさんいるだろうという落とし穴について、つぶやいております。
さて、今回は問題点。
ん?みんながメリットを感じるんですから、問題なんて一見ないような気がしますが・・・・・

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①ふるさと納税する方が金銭的に儲かるということは、実質的税金の減少になるはずである。

結論からすれば、国・地方自治体全て合算すれば、理屈からすれば、税収の減少となるわけです。
まあこの点については、地方活性化のための減税であると割り切れば、まあ問題まではいかないかもしれません。
 

②ふるさと納税する人が住んでいる自治体は税収減で、ふるさと納税を受ける自治体は税収増、でもその際に、本当に地方活性化に寄与するのか?

一見すれば、ふるさと納税をたくさん受けられるように頑張っている自治体は、税収が多くなっているという建前になります。ところが蓋を開けてみれば、当たり前の話ですが、たくさん受けられるようになっている自治体は、お礼の品を豪華にしたり、換金性が高いものをお礼としていたりするだけなのです。
つまり頑張る地方自治体が出れば出るほど、ほとんどの場合は、減税をして、自分のところの税収を増やしているだけという形になっています。
まあこれについても、①と同じ理由で、目をつぶれる範囲なのかもしれませんが。
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③一部の人の利権となっているのではないか。

ふるさと納税するとついてくるお礼の品、仮にその自治体の事業者の生産物だったとして、特定の生産者の商品をお礼として出すことになれば、それを決定する際には誰かの利権となります。
更に、その自治体の生産物でないお礼を出す自治体の場合は、単純にそれを誰がどこから買うかということ自体が利権となります。
こうしたことに問題が発生しないわけがないと思うのは、下種の勘繰りでしょうか?
 

④お金持ち程メリットがある。

実はここが最大の問題点です。
計算を簡単にするために住民税の2割がふるさと納税できると仮定します。(厳密には違うので、注意ください。)
 
A 住民税 年間2万円の人 4,000円ふるさと納税 2,000円自己負担 実質納税額22,000円
B 住民税 年間20万円の人 4万円ふるさと納税 2,000円自己負担 実質納税額202,000円
C 住民税 年間200万円の人 40万円ふるさと納税 2,000円自己負担 実質納税額2,002,000円
 
AさんもBさんもCさんも、実質納税額は2,000円自己負担分が増えただけです。
この条件下で、ふるさと納税したお礼の品がふるさと納税の金額の5割の価値のものがもらえるとします。
 
A 住民税 実質納税額22,000円 - お礼の品2,000円 = 20,000円
(当初と出ていくお金は変わらず。)
B 住民税 実質納税額202,000円 - お礼の品20,000円 = 182,000円
(当初と比較して出ていくお金は18,000円減る。)
C 住民税 実質納税額2,002,000円 - お礼の品200,000円 = 1,802,000円
(当初と比較して出ていくお金は198,000円減る。)
 
これって、なんか高額納税者の方がうまいことやっている気がしませんか。
もちろん、どんなお礼の品をもらうかで、このシュミレーションは変わってきますが、実は5割を超える価値のお礼の品もの存在するので、これ以上の計算になる可能性は充分にあるのです。
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もともと所得税や住民税は、累進課税制度に則り、所得が高い人の方が税率が高くなっているのに、ふるさと納税では所得の高い人たちの方が(当たり前ですが)戻ってくるお金が大きくなります。
なんか矛盾してませんかね?
なんだかなあ。
更に言えば、ふるさと納税は、知っている人はするけど、知らない人はやらないという制度です。
つまり、貧乏人程メリットが少ないためにやりません。
一部のお金持ちは、人に頼んでも積極的にやることになります。
税の公平性という基本理念はどこに行ってしまったんだろうと、私でなくても思うはずです。
(続く)

法律

Posted by ymo